散財日記
2009-07-08 この日を編集
_ カワイモデル 自由形Cタンク改「植松宏嘉カスタムモデル」
本日紹介の鉄道模型は、カワイモデル自由形Cタンク改「植松宏嘉カスタムモデル」です。昨年 2008/04/27 に都立産業貿易センターで開催された、第五回鉄道模型市(要すれば骨董・ジャンク・中古模型市)にて購入しました。
表題には「植松宏嘉カスタムモデル」と書きましたが、購入当時はこれが果たしてカワイモデル製品かどうかもよくわからなかったのです。しかし、サイドタンクやキャブ、コールバンカー、動輪の形状は、カワイの自由形Cタンクそのもの。モーターやウォームギアは明らかにカワイ製。そして以下のような箱に入って売られていました。
箱には確かに「C.TANK」の文字が。しかし左端の「松」と手書きの「Upgraded」の文字が何を意味するのかわかりません。出品者の方は「立山重工製っぽくていいでしょ」と説明してくれました。まあカワイにはカタログには掲載されていないカスタムモデルを販売した例が過去にもある(代表例は幻のモデルと言われている C51)ので、そんなものかなと思い購入。ちなみに購入価格は 10K 円。とってもお買い得でした。
購入した後でいろいろと調べたのですが、どうも立山重工製産業用 SL とは少し雰囲気が違う。そもそもメーカープレートは「日立」。ということで出自がよくわからないので紹介できなかったのですが、走行性や外観は申し分なく、先日の自宅運転会でも以下のような編成で運転し、好評を博したのでありました。
さて、購入してから一年以上の月日が流れ、先日日本の古本屋でカワイモデルのカタログが hit しないかな、と検索していました。残念ながらカタログは見つからなかったのですが、検索語を「カワイ モデル」として再検索すると、「とれいん 1980年10月号」が以下のキーワードとともに表示されました。
モデル:EF58&EF65PF(13mm) カワイ製品でハイモデリング タンカー43輛 珊瑚製スイテ48キット 国内:展望車、EF64-1000
「カワイ製品でハイモデリング」の記事が気になり、どこの古本屋の在庫かなと調べたら、何のことない職場のごく近所にある「さっぽろ游書館」の在庫。昨日行って現物を拝見させてもらったのでした。
私はどちらかというと電車好きなので、「カワイ製品でハイモデリング」という表題を目にしたときも「国電関連のディティールアップ記事かな」なんて勝手に想像していたのです。ところが当該記事の見開きカラーページの写真を見て思わず目が点になってしまいました。
どこかで見たような…。迷わず購入し、帰宅してもう一度比較。
なんということでしょう (大改造!!劇的ビフォー○フター調に)。出自不明のCタンクは、SL 写真家で名高い植松宏嘉氏が作成し、「鉄道模型趣味(TMS)」とともに長らく国内鉄道模型雑誌の二強として君臨してきた雑誌「とれいん」にて約 30 年前に発表された作品だったのです。
では各部の詳細を「とれいん」に掲載された写真とともに眺めてみます。
もう説明するまでもありませんね。間違いなく植松氏の作品です。また、箱のラベルの左端にあった「松」の文字の謎も解けます。「松」の文字の上の方、メーカー名が印刷された黄地の部分になにやら印刷がかすれたような跡があります。おそらく「植」の文字が書かれていたのだと想像されます。
ちなみに、植松氏の「とれいん」記事の最後にはこんな文章が
各部を工作してみて、このキットが実にしっかりと組まれているのに 感心しました。このまま忘れ去るには惜しいキットだと思います。
全くもってそう思います。再販してください、カワイさん(_o_)。さらに文章は続き、
少々オーバースケールのようですが、鉱石等を積んだ貨車を 2〜3両ひかせたら、大型機とは一味違った魅力があるでしょう。
はい、全くその通りに遊んでいました。恐れ入ります。
しかしなぜこのようなモデルが「鉄道模型市」に出品され、しかも 10K 円という破格の値段で売られることになったのか、全く謎です。ご本人が「忘れ去るには惜しい」と述べていたキットの加工品が「忘れ去られるように」流転し、30 年の時を経て我が家にやって来るとは。不思議な事もあるものだなあ、と思いました。
参考文献
- 植松宏嘉, 1980, 「C タンクを産業用機関車に」, カワイモデルの製品を使ったハイモデリング 1, 「とれいん」No.70 (1980年10月号), プレスアイゼンバーン.